牛黄が医薬品として遺り,各方面で聖薬として使用されているきっかけとなった、「和漢薬」が諸事情で廃刊。
最後の御礼の文と承認きっかけの起請文の旧号を御笑覧いただき、往事をしのでいただければと思います。





                         
                                        ●和漢薬N0.770(2017.7)●

   牛黄の医薬品としての存続に「和漢薬」誌が多大な貢献をした
  〜「和漢薬」誌の存在がなければ牛黄は医薬品としての役目を終えていた〜


                           
片桐棲龍堂 17世代表取締役社長 片桐平智

 ウチダ和漢薬様の月刊雑誌の「和漢薬」誌が突黙に終刊とのご案内をいただき,驚きました。空気や水のような存在で,いつも隣にいて最新情報や世界的な俯瞰の薬事法の近況や変遷を教唆していただいたのに惜念の思いです。

 当家は家訓として表に出ずに数百年,太平記の時代から江戸時代まで,御典医師や軍師として,皇室や大名家,寺社や文人の方々の健康管理に携わってきましたが,牛黄の存続の危機に直面して,各方面の皆様の御助言や御尽力で表に初めて出ました。

 医薬品の牛黄が薬事法の大改正によって平成17年4月1日以降,製造専用医薬品の許可がなくなり,猶予期間のあるものの,新たな販売承認許可要件に準拠する一般用医薬品としての対象に牛黄も含まれることになったのです。牛黄の単味の大衆薬としての存続の危機でした。
 
 ただ後述しますが,当時,牛黄は薬業界も一般の方はあまり,医薬品としての効能効果はもとより,牛黄の民族的な重要性は関心が低かったのが現況でした。また官庁の方々も解熱,強心目的の動物薬で高価なものとの理解認識でした。

 このままでは牛黄が医薬品として消滅するという危機に陥っていました。それでウチダ様の月刊雑誌に牛黄の沿革や重要性について初めて,啓蒙趣旨の投稿の決意を当時のウチダの方々に打診しましたら,快く御受諾いただき浅才も顧みず二号に亙り連載させていただきました。

 収載にあたっては今年で半世紀近く担当の東大寺様より修二会,通称お水取りの資料を現在222代管長の狹川普文様より関連写真や資料を提供いただき,また東大寺様との縁を紹介しました朋友の救心製薬の堀正典社長撮影の同行での二月堂所作の御写真も掲載,平行して当時の松浦漢方の故松浦敬一社長や原田邦夫取締役に,牛黄の一般用医薬品としての存続維持の非常に困難な難題を相談しました。


 牛黄は解熱,鎮痙,強心の効能があり,それ故に苛酷な仏教や神道の行事に僧侶や神官の身体を護持する目的で,一千年以上も民族的に使用された経緯があり,近年急逝され,数年とともに修二会の献上薬物を担当させていただき,晩年核心製薬の生薬の御指南いただいた渡辺武先生、また懇意の難波恒雄両先生も牛黄の事,気にしておられました。

 其のことを前述しました,当時常務の原田邦夫氏にあらためて,数度も進言いたし,松浦漢方を通じて牛黄純末として一般用医薬品として初めての試みの申請を当時の厚生労働省に提出されたところ,丁度奇しくも,東大寺の修二会の最中の三月初句に一般用医薬品としての承認を取得された旨の連絡をいただきました。



  「和漢薬」誌を多くの所轄官庁の方々や審議関係の方々が読まれて,牛黄の重要性を御理解いただいた御陰と薬業界重鎮の方々は異□同音におっしゃりました。本雑誌が貢献したのです。読者の規模と知識が深淵なのが「和漢薬」誌でした。これによって牛黄を後世に遺すことができました。追随申請する各製薬会社のため特許も放棄しました。加速的に認可されウチダ様も許可されました。粉末の殺菌が要件でしたので安全な良質な牛黄を薬局,薬店に供給できる体制が整いました。

 本誌のお陰で,認可は行政官庁や各製薬メーカーの方々の大勢の御尽力と感謝しています。また参画できた事に大きな誇りを持っています。その後無報酬で各種生薬製剤の開発に関与したのも本雑誌のお陰です。永年ウチダ様の御紹介で地方の無名の者が東京生薬協会に置籍され各製薬会社の相談に極秘に関与しましたが,責務をとかれほっとしました。

 近年は龍谷大学の要請で牛黄に関する展示を行いました。御縁で東大寺様の続牛黄や尊勝陀羅尼経の御下賜護符の印に牛黄が使用されてきましたが,それ以外薬師寺様の護符にも龍谷大学御縁で献上使用されています。医薬品としての用途以外に日本の仏教や神道に復活使用されています。人知れず,また海上自衛隊の練習艦隊,次世代を担う幹部候補生の世界各地巡航の際にも旧戦跡海域に慰霊に東大寺の御香水,壇供,当家の牛黄塗布の護符が慰霊のため投海されています。シブヤ湾海底の武蔵も戦後はじめて投海,其の後正確な最終位置が判明したとも伺い,牛黄の奇しき縁,話題となりました。復刊を祈ります。



練習航海の道すがら艦隊大和及び同随行艦艇及び沖縄海域戦没者の慰霊に慣行として,訓練航海海域通適時平和を祈念して慰霊式典をしていただいた。 写真提供:海上自衛隊日本国練習艦隊


 また,本誌の縁で長谷川弥人,渡辺武,難波恒雄,米田該典,馬継興,頼栄祥,野瀬真,中国北京東直門先生一同,陳世銘,洪徳施,中国全人代の方々(敬称略)とその外各医薬業界の重鎮の方々の日本国登録文化財旧医家屋敷資料館と堺市名勝庭園への表敬訪問とその後の縁に関与していただいた「和漢薬」誌刊行の初代社長およびその後役員諸氏,編集者および同委員,はたまた出版社の方々に感謝します。明るい未来が関係者,皆様にありますよう祈念終稿します。


 牛黄関連の 一連の「和漢薬」本の出版の刊行にあたっては、大学生時代より半世紀にわたる刎頚の友  ウチダ和漢薬 元杜長の 松本 克彦 様  の生薬に対する情熱と正義感が人知れず多大に貢献したこと膨大な人脈のお陰であること一筆を触れておきます。




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