2016年 龍谷大学文学部博物館実習に展示しました


龍谷大学文学部博物館実習12月展
      「京 - 祈り次いだ1200年 」 に当家の各種資料を展示しました。


本年は「京 −祈り継いだ一二〇〇年」のテーマで疾病を御霊の仕業として捉えた古代の人々の概念から御霊会が始まり、科学的な疾病や災害の原因解明につれて祈りが祭りに変化していきます。

平安京の創設に起因の鎮護の四神相応の土地の守護神の青龍、白虎、朱雀、玄武に因む、片桐棲龍堂所蔵の伝来瓦を出品しました。

創の時期に宮中で使用された平城宮跡鎮護用の鬼瓦の複製や唐招提寺の伏魔の鬼瓦の塑形も併せて出品しました。

棲龍堂は龍穴に存在して、代々各種結界が兵法に基づき処々に配置されています。定かではありませんが地中にもあると伝承されています。

次ぎに祈り始まりの祇園牛頭天王縁起で、今回はじめて、蘇民将来伝説で授けられた牛玉(ごおう)が富をもたらし、所持すると疾病を司る神から守るまでの経緯が判明、服用時の祭礼経文も解明でき、前回の仏教用途牛玉と違う神道の概念、用途も理解でき、その深遠さに感銘を受けました。京都大学付属図書館の収蔵品でした。

いくばくかの資料も出品しました。最後の祭りでは山鉾由来記など祇園祭に因むものを出品しました。




  


龍谷大学  大宮学舎(重要文化財)で展示されました
 
京(みやこ) 祈り継いだ1200年

 都の人々は、怨霊の存在を感じていました。人々は「京」の「創」造に力を入れ、怨霊の災いから身を守ろうとしました。
怨霊は、様々な形で「禍」をもたらし、人々から喪怖されました。
怨霊の災いから逃れるため人々は「祈」という方法で怨霊を祀り、鎮めようとしました。祀りは、寺社の「祭」へと発展します。
 今回の十二月展では、「京」における信仰の変化を「創」「禍」「祈」「祭」の四つの視点から考えていこうと思っています。「京」の人々の町に込めた思いを感じ取っていただければ幸いです。
  本展示は、龍谷大学文学部博物館学芸員課程の授業の一環として行います。今年度は、十二月展として第37回となります。
 重要文化財の龍谷大学大宮本館展観室で開催しますので、どうか御来場いただきますようお願いいたします。 
 
 
ご挨拶
 
 2016年度の龍谷大学文学部博物館実習十二月展は、「京〜祈り継いだ一二〇〇年〜」というタイトルで開催いたします。
 
 今日、日本では地震や台風などの様々な災害の発生、また様々な病気が毎年流行しています。
現在の私たちであれば、科学的な根拠から、原因を解明する事が出来ますが、古代から近世に至る人々は、それを何かしらの霊威として恐れ、時には崇めながらも目に見えぬ何かと共存する為の術を見いだしました。特に、昔の人々は、「祈り」という形で祈祷を行い、神々の怒りを鎮め、恐怖、災厄と向き合いました。

 しかしながら、時代が下るにつれて、人々は祈りと共に楽しさを見いだし、賑やかしく華やかな「祭り」へと変化していきます。私たちは、「京」における祈りの変化に注目しました。

 本展示では、中でも平安京の創設の原因になる疫病をもたらした早良親王と、それを鎮めるために始まった御霊会、そして、その発展と共に美しく彩られ、華やかしく現代へと続いている祇園祭への変遷を追います。

まず、知っていただきたいのは、思想的に位置づけられた都の寺社についてです。
平安京が創設される以前、桓武天皇はこの地をこの国の都へと選定されました。
これには、京の地形に大きく関係しています。いわゆる四神相応という思想です。

一章「創」では、そのことについて触れます。
次に祈りの始まりである災厄の原因について触れます。疫病の流行によって京は大きく混乱します。
平安時代人々は、これを785年に起こった藤原種継の乱によって廃された早良親王の怨霊が原因としました。これを鎮めるために牛頭天王を祀る御霊会が始まります。

二章「禍」では怨霊のルーツ、信仰について触れます。

三章「祈」では、怨霊を鎮めるための対処策として始められた御霊会についてその発展と、祇園御霊会の展開について紹介します。
現在、豪華に彩られた祇園祭ですが、その始まりは、より深刻に怨霊へと向き合いました。
そのような人々の願いを感じ入っていただければ幸いです。そして怨霊はやがて科学的に、現実的に人々に受け入れられる様になります。
そして「祈」は「祭」へと変化し、今日の祇園祭へと続き、娯楽的なものへと変化していきます。

四章「祭」では、科学技術の発展に伴って薄れていく怨霊信仰と、それに反して娯楽へと変わりゆく祇園祭りについて触れています。

 今回の展示は上記の一章「創」、二章「禍」、三章「祈」、四章「祭」を見ていただくことで、平安時代から近世までの人々の怨霊に対する恐怖が現代へと続く祈りの変化についてその展望を皆さんに感じ入っていただければ幸いです。

 最後になりましたが、本展開催に際し、貴重な資料を出品してくださった所蔵者の皆様、及び調査にご協力くださいました方々、ご指導を賜りました先生方、そして本実習を支えて下さいました全ての方々に深く御礼申し上げます。

                  2016年度龍谷大学文学部実習代表幹事 岩村宗一郎


 
浦西 勉 教授 文学博士(右側)  と唐招提寺の鬼瓦塑形の前で撮影
 
手前左 平城宮跡鎮護用鬼瓦  奥 四神瓦コーナー


四神瓦  片桐棲龍堂所蔵品

  本展示品は、寺院などを守護するためにつくられた四神を模した瓦である。

四神とは青龍、白虎、朱雀、玄武のことで、それぞれ、東、西、南、北に配置される。桓武天皇が平安京に遷都した一つの理由としても、東に川、西に大道、南に湖、北に山という「四神相応」の地であることが挙げられる。

 まず、青龍は東を守護する霊獣で、風水で鴨川にあたる。
西を守る霊獣は白虎で、山陰道をあてる説が有力である。
朱雀は南を守護する霊獣で、平安京の主要道にも朱雀の名が使われた。巨椋池が南の湖にあてられたが、現在では干拓によってなくなった。
北を守護する玄武は、蛇と亀が合わさった姿の霊獣である。平安京の北にある船岡山があてられ、玄武神社も建立された。                   
                            (竹中 颯  :龍谷大学 博物館実習生 工作部 )


平城宮跡鎮護用鬼瓦(複製)   片桐棲龍堂所蔵品
  
    瓦宇 様の資料   唐招提寺鬼瓦型         片桐棲龍堂所蔵品

     本展示を通じて、故鬼師の心のいぶきを後世に伝える事ができました(瓦型の収集)

 
祇園祭 複製屏風 コーナー

祇園祭山鉾巡行図屏風(複製品)        片桐棲龍堂所蔵品 
 
山鉾由来記(祇園御霊会細記図)        片桐棲龍堂所蔵品

 
神事一札類       片桐棲龍堂所蔵品

 
祇園祭   長刀鉾 粽    大船鉾復興記念 扇      片桐棲龍堂所蔵品

片桐棲龍堂 への展示品の返却

貴重な品を運ぶ日通の美術品輸送で丁寧に運送・返却されました









展示品は日通社員、教授、学生さんが丁寧に元の場所にもどされました。




この度の企画に関し龍谷大学の各位、担当教授、担当学生の皆様の
ご協力と、ご努力に感謝いたします。




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