安西冬衛が当家の景色を詠んだ詩

   片桐屋敷の竹の秋 白茶けてすさまじ

解説として芥川龍之介の「庭」を想起。鴎外の「渋江抽斎」がモチ−フになっ
ている。彼の「庭」と冬衛自身が解説をしておられます。本詩は昭和21年11月3日
に発行された冬衛の小品集の「桜の實」の日記抄227頁に収載されて
いて冬衛が16代当主の片桐悦朗の患者であられた関係で戦時中によく来られ、
現在の資料館前に当時、繁茂していた孟宗竹の事を詠まれた様です。戦時中に
庭の茅葺の亭と共にこの竹は陸軍の要請で火災防止のため撤去されました。
安西冬衛は奈良生まれの歌人として與謝野晶子と双壁をなす詩人で
「てふてふが−匹韃靼海峡を超えてきた」を詠んだ詩集「韃靼海峡と蝶」で著
名であります。本詩の掲裁本を展示しておきます。

              
                             片桐棲龍堂漢方資料館