享保十四年廣南国象貢内裏叡覧の図

この図のインド象は牙の状態から判断して雄である。享保13年に将軍吉宗の注文で広南(いまのハノイ辺り)から雌雄が持ち渡られたのだが、この雌は長崎で死亡。享保14年3月13日に長崎を出発、陸路をとって4月下旬には京都に入り、従四位を与えられて中御門天皇に「拝謁」、5月25日には無事江戸に到着し、将軍に謁見し、浜御殿で長く飼育され大変な評判となった。その後払い下げとなり寛保2年死す。清涼殿での謁見風景が描かれている。中御門天皇は象玉にも関心され、象がお好みでした。薬用には象皮を火傷や皮膚治療の生肌散の主原料とする。

                         片桐棲龍堂漢方資料館