本てうし
              五渡亭 国貞画

思ひきや 線香立てて 出るとて 入ぼくろにも 灸すえるとは



入れぼくろを焼き消す

遊女の場合、多くは男一人を守りきれるものではなく、やがて第二の男があ
らわれてくる。そうなると初めの男につくした心中立の入れぼくろが邪まにな
る。そのために昔は灸で焼き消したものである。医療に切っても切れぬ灸に,
こんな使い道があったとは。