奈良や京都の古寺では、今でも仏前に僧侶が立ち、華籠と称する美しい浅い籠に散華を 盛り、それを―葉ずつ経文を唱えながら仏の周辺に撤き散らす儀式を行っている、これが 散華である、勿論仏事の時はそれを仏堂に撒いたが、お祭りがすんだ後、三枚か五枚を たとう紙に包んで参詣者への記念品としていただく風習となっております。 各古寺では皆々意匠を凝らして寺独自の散華を考案され、大小様々、文様もいろいろとな り美しい散華が作成されている。原画は著名な日本画家が担当し木版画されています。 近年、小美術品として愛好者の酔唾の的となっている。 仏座す―華が散り敷くところ、汚れは払われ、清浄に満ちる。散華は元来は生花であった が今日は紙製が主流である。 釈迦誕生を告げて開花したという象徴花蓮華は紙片に変じて民の心に清雅で至福な花を 咲かし、病や煩悩を癒します。五色の色を見、香を聞かば花浄土にいたるとされた古代 インド医学へと繋がる道に撒かれた―葉―仏の美の世界である。 本展示品は京都の八木正吉氏の寄贈品で人間国宝の芹沢氏の散華色紙、善光寺、北野東向 観音寺、東本願寺、西本願寺、その他のものである。 片桐棲龍堂 漢方資料館 |